下腹部痛は何科を
受診するの？
下腹部痛は、腸、尿路、婦人科疾患などが原因で起こります。下腹部の左右いずれかが痛い、または下腹部真ん中など、痛む部位や性別などによって原因が異なります。下腹部全体に鈍痛がある場合、男性なら前立腺異常が疑われ、女性なら子宮や卵巣の異常が疑われます。
さらに、左下腹部痛や下痢症状がある場合は、大腸疾患の可能性があり、左右いずれかに刺すような痛みや激しい痛みがある場合は、尿管異常や腎臓疾患などが疑われます。急激な強い痛みが起きた場合は、速やかに医療機関を受診するため救急車を呼んでください。
早急な受診を勧める腹痛
- 動くと痛みが強まる
- 下腹部特定の部位を押すと痛みが強くなる
- 血便や下血がある
- お腹が痛すぎて眠れない、寝ていても痛みで目が覚める
- 嘔吐が繰り返し起こる
受診をお勧めする腹痛
- 痛みが治まらない
- 痛みが何度も繰り返し起こる
- 発熱や下痢、嘔吐がある
考えられる疾患
右下腹部痛
消化器系疾患
虫垂炎、大腸炎、炎症性腸疾患、腸閉塞、大腸憩室炎、鼠経ヘルニア、膵炎、胆嚢炎など
尿路系疾患
尿路感染症、尿路結石
婦人科系疾患
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、卵巣出血、骨盤腹膜炎、卵巣茎捻転、卵巣膿瘍、卵管膿瘍、卵巣炎、卵管炎など
男性疾患
精巣上体炎、前立腺炎など
その他
動脈瘤破裂、動脈解離、腸腰筋膿瘍、後腹膜出血など
左下腹部痛
尿路系疾患
尿路感染症、尿路結石
婦人科系疾患
子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍、卵巣出血、骨盤腹膜炎、卵巣茎捻転、卵巣膿瘍、卵管膿瘍、卵巣炎、卵管炎など
男性疾患
精巣上体炎、前立腺炎
その他
動脈瘤破裂、動脈解離、腸腰筋膿瘍、後腹膜出血など
考えられる消化器の疾患
便秘
便がスムーズに出ない、排便量が少ない、残便感がある、腹部の張りなどがいくつか合わさった状態が便秘です。便秘には、機能性便秘と器質性便秘があります。いずれも左下腹にあるS状結腸に起こりやすく、左下腹部痛が現れます。
食事習慣や運動習慣などの影響が大きく、その他では薬剤の副作用や全身疾患、腸機能の異常などが原因となります。
大腸憩室炎
消化管壁の一部が外に飛び出した袋状の憩室に、便が溜まってしまうと細菌感染を起こします。この状態が大腸憩室炎です。左下腹部のS状結腸に起こることが多く、左下腹部痛が現れます。
過敏性腸症候群
便秘や下痢など便通異常を繰り返し起こすにも関わらず、血液検査や胃カメラ検査、大腸カメラ検査を行っても病変がない状態です。便通異常のタイプによって、便秘型、下痢型、混合型に区別されます。
感染性腸炎
細菌やウイルスに感染して胃腸炎を起こします。ノロウイルスやロタウイルスなどが病原体とされるほか、寄生虫などに感染して発症することもあります。主に、吐き気や嘔吐、下痢などの症状が見られます。
虫垂炎
虫垂が炎症して発症します。虫垂は盲腸の先端にあり、虫垂炎になると右下腹部痛が起こります。
虚血性腸炎
腸内の血流が滞ることで発症します。特に女性に多く見られ、便秘傾向の方によく見られます。下腹部痛や吐き気、下痢、血便などの症状が現れます。
下腹部痛の検査
血液検査
問診や触診によって、痛みが強い場合は血液検査を行います。白血球やCRPは炎症や感染程度を示します。虫垂炎や憩室炎の場合は数値が高くなります。当院の血液検査は約5分で結果が分かり、迅速に診断することが可能です。
大腸カメラ検査
大腸全域と小腸一部の粘膜を直接観察します。大腸の炎症やポリープ、がんなど微細な病変まで発見できます。当院の大腸カメラ検査は、内視鏡専門医が検査を行います。また、検査中にポリープなどの病変を発見した場合は、その場で切除治療が可能です。
腹部超音波検査
内臓や血流を超音波で調べます。肝臓、膵臓、腎臓などの臓器のほか、心臓、血管、乳腺、甲状腺などを検査できます。
